前書きに変えて
ドイツへ住み、はや30年以上経った。 理由は留学で、ピアノでミュンヘン音大に入学した。 その後、エッセンで数年過ごし、今はフランスとの国境に近いカールスルーエという人口３０万 くらいの中都市に20年程前から今は６歳と７歳になる息子二人と暮らしている。
私の仕事は、市立の音楽学校で子供達にピアノと聴音・楽典などのクラスを持ち、音大では、弦楽 科の伴奏員として講師をしている。 数年前までは、ソロのリサイタルも度々していたのだが、子供達を全面的に引き取り、シングルファーザーとなった今では、殆ど自分で切磋琢磨する時間もなく、子育てと仕事に追われる毎日である。
最近では、夜に外出することも出来ないし、気の向くままにコンサートや映画に赴くこともない。なんだか、毎日機械みたいに動き、働いているような気もする。従って、知人、友人たちとの繋がりも断然薄れてきているのは事実だと・・・。今の自分にとっての普段の人間関係は、ほとんど子供達との親達との付き合いで精一杯というところかもしれない。
そんな中、このようにインターネットという文明の利器を使って、わずかながらでも世界へ発信し、違う形で友人、知人達と繋がることは可能なのではないか、と思いついた。
別にモノを書くことが仕事ではないので、 風景にも似たようなエッセイを時々気の向くままに日常生活の中から書いていけたら、と思っている。
また、エッセイの中のいくつかは、以前日本でのコンサートの折に、プログラムに載せていただいたオリジナルのものをここに記載させてもらっている。
村山卓洋 2020年１月
